河内実加『ねむいねむい時』

河内実加〈クラララバード・シリーズ〉の4冊目にして初の短編集『ねむいねむい時』(2017/8月刊 発行 ものぐさ堂)読。
https://macamica.booth.pm/items/584363
↓表紙絵はレギュラーキャラぽちこと今回登場の動物たち(の一部)。

↓裏表紙に収録3編のカット。

同シリーズの既刊3作↓…
http://domperimottekoi.hatenablog.com/entry/2015/08/30/180407
http://d.hatena.ne.jp/domperimottekoi/20151216/1450262585
http://d.hatena.ne.jp/domperimottekoi/20160821/1471772750
…と同様「愛するいきものが旅立ったあと」の「虹の橋のふもとにある村」(まえがきより)クラララバードに纏わる物語だが「今回はこちら側から見たお話を描いてみました」(あとがきより)とある通り〈あちら側〉の世界は比較的遠景にとどまる趣き。また収録短編3作其々絵柄を微妙に変えてある(ような気がする)のも目を惹く。「ひどい男」(犬)はオーソドックス少女漫画風「ねむいねむい時」(インコ)は若干デフォルメ強調風「スワニーが消えた」(アヒル)はアメリカンコミック風──と言ってもいずれも素人の見方なので違うかもしれない。通底するのは(シリーズテーマなので当然乍ら)動物の死と人との関わりが語られるのと 且つそこにミステリー風味あるいはときにホラー風味とさえ言えそうな捻りが鏤められていることで とくに今回は短編のためもあってかその点がより鋭角的なように。「ひどい…」の○れ○構造「ねむい…」の終盤意外人物活躍「スワン…」のさり気ない伏線等がその表われと──尤も伏線もまた3作共通要素ではあるが。どれも佳い話であり乍ら心の痛いところを衝いてくるのがある意味最大の特徴。案内役〈ぽちこ〉は3作中2作で顔見せ。そんな中 個人的に一番参った好キャラは「ねむい…」の○イ○さん。これはたしかに泣く。と同時に主人公の事情が自分とダブるような面もあり身につまされ…と言うわけで集中最長のこの表題作を敢えてイチオシと。あとがきで作者の子供の頃のある不思議な体験(ここではとくに秘す)を思い出し乍ら描いたとあるが…やはり才能ある人ってそう言う思い出を持ってるものなんだろうな…などとつい羨ましくもなる一冊。


『ねむいねむい時』は河内実加さんからご恵贈賜りました、ありがとうございます!





























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