池部良『恋人』『恋化粧』/小泉博訃報

『歌謡コンサート』青春歌特集(6/2)冒頭で『青い山脈』が唄われ/映されたのは偶然だろうが池部良特集はなおも続く…

6/2火 ラピュタ阿佐ヶ谷『恋人』(1951新東宝 市川崑)
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/ikeberyo/sakuhin2.html#10
http://movie.walkerplus.com/mv27103/

久慈あさみ池部良がセットの東京の街(スケートリンクと深夜の駅構内は多分本物だが)で繰り広げる一夜のアバンチュール。序盤主演の久慈を出さず両親(千田是也と村瀬幸子好演)だけで延々引っ張ったり、池部がタクシーに轢かれそうになるのを体の動きだけで表現したり、ゲスト歌手斎田愛子に『埴生の宿』をフルコーラス唄わせたり(主題歌とは別の基調曲として利いてる)、ヴィヴィアン・リー『哀愁』の名場面を長々と見せたりなど随所にユニークな試み多し。が一番感心させられるのはシーンの繋ぎ目がことごとく自然な点。それは単に編集技術でなく演出の繊細さあってこそのはず。他愛ないホームドラマのようでいながらサスペンスにも似た妙な緊迫感があり満席の観客が居眠りなど微塵もせず熱視線を送りつづけた(そうと判ったのはいつになく最後部の補助席に坐ったから)。波乱の展開の『坊っちゃん』でなぜか舟漕ぎが多発したのと対照的。後年社長シリーズで久慈とコンビ組む森繁久彌が本人役でカメオ出演。検索すると驚くことに久慈は同年(1951)本作を含め市川崑作品4本に出ている。なおこの『恋人』Youtubeに全篇UPされてた↓。



同日同所『恋化粧』(1955東宝 本多猪四郎)
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/ikeberyo/sakuhin1.html#09
http://movie.walkerplus.com/mv24179/

本篇白黒。こちらは本物のサスペンスでアクションも多い。が4人の男女(池部良 越路吹雪 小泉博 岡田茉莉子)の恋愛心理の機微も濃厚に描かれる。これが本多猪四郎を最リスペクトする笹川吉晴氏の言う「特撮怪獣物以外にこそ本領あり」の一端か。個人的にはここでもやはり歌抜きで演技にのみ徹する越路吹雪の女優面にあらためて注目(家事しながら鼻歌唄うシーンはあるが)。

なお奇しくも小泉博訃報の直後に本作鑑賞。共演岡田とは東宝同期の由。これまで観た出演作↓。
http://domperimottekoi.hatenablog.com/search?q=%E5%B0%8F%E6%B3%89%E5%8D%9A
とくに『結婚の夜』での翻弄されるプレーボーイ役は絶品。テレビでは『咲子さんちょっと』↓が初認識作にして最愛シリーズ。

(江利チエミ 葦原邦子 伊志井寛と)

ご冥福を祈ります。

























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