池部良『暗夜行路』『好人物の夫婦』

6/5木 ラピュタ阿佐ヶ谷『暗夜行路』(1959東宝 豊田四郎)
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/ikeberyo/sakuhin2.html#12
http://movie.walkerplus.com/mv26213/

2時間半近い大作。原作既読。志賀直哉に推挽され知己でもあったという池部良が苦悩から悟達までの困難な役柄を見事に演じ切った。もし他に主演候補があるとすれば佐田啓二 鶴田浩二あたりが思い浮かぶが、ある種の透明感(という言い方が合ってるかは判らないが)が一番ありそうな池部がここではやはり最適かも。↑このポスターは客演山本富士子のほうが扱い大きい上に池部はニヤけ顔にされてるが、本篇では当然ながら圧倒的に主役の存在感が大きく且つ演技は終始厳しく、今まで観た中で最高域。山本は後半からの出番ながら華やかさから悲劇への落差の展開を大熱演。淡島千景はこの度は抑えの役どころに流石の徹し方。その他仲代達矢 千秋実 岸田今日子らも含めキャスティングの絶妙さが光る。長尺に微塵の弛みもなく目を釘付けにさせる傑作。しかし無疵のフィルムがないらしくソフト化が難しそうなのが残念。
余談だがちょっとしたベクトルの変え方によっては横溝正史の題材になってもおかしくないようなある意味原罪と劫罰のお話だけに、市川崑石坂浩二バージョンだったらどんなか、などとふと思ったりも(『細雪』の例もあるので吉永小百合も加えて)。





6/4水『好人物の夫婦』(1956東宝 千葉泰樹)
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/ikeberyo/sakuhin2.html#13
http://movie.walkerplus.com/mv24741/

『暗夜…』に先立つ志賀原作物。妻役津島恵子。知性と俗性のバランスよく自然と芸術家に見える池部に作者が「彼ならば」と思うのも宜なるかなの佳品。千葉は『大番』シリーズの人で夫婦物は得手か。



























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