森川楓子『国芳猫草子 おひなとおこま』

森川楓子『国芳猫草子 おひなとおこま』(宝島社文庫2016/12月刊)読。
http://tkj.jp/book/?cd=72570901

超楽し&面白! 実在の有名浮世絵師 歌川国芳に師事する町娘「おひな」がひょんなことから猫語を解するようになり牝猫「おこま」とともに嬰児誘拐&首なし殺人事件に巻き込まれることに。この「猫語」能力は単なるお話の都合上の設定ではなくどうやら深くて妖しい事情が背後にあるのが仄めかされているようで また事件展開の過程には舞台となる絵師の世界に相応しく生首絵さらには九相図(腐乱屍体絵)までが関わって怪奇味も濃く漂い…と如何にもホラー好きでもある作者らしい面具えつつも 基調は浮世絵界&猫界がオーバーラップするユーモア+ワクワクドキドキの痛快サスペンスミステリー。絵が下手なのに国芳愛ゆえに弟子入りしてしまうちょっとドジなおひなの可愛らしさ&利発なおこまの名コンビぶりのみならず 国芳門下の大勢の弟子たち1人ひとりが活き活きキャラ立ちし さらには江戸の街を底辺から支える?猫たちのネットワークまでが浮かびあがるかのようなのが壮観。ラストのラストには洒落たサゲが待ち受けて思わずニヤリとさせられ…
「あとがき」によれば本作は歌川国芳への愛着によるだけでなく 戯作者 山東京山 作『朧月猫の草紙』あるいはその現代語訳『おこまの大冒険 朧月猫の草紙』(金子信久 訳著)に触発されてのオマージュor二次創作の趣きとのことで 同書までもPRしているのが作者の偏愛窺えて微笑ましく。シリーズ化されるに相違ない好篇 期待&応援す!
↓本書表紙絵の元になった国芳描く『朧月猫の草紙』挿画。

国芳猫草子 おひなとおこま (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

国芳猫草子 おひなとおこま (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

おこまの大冒険〜朧月猫の草紙〜

おこまの大冒険〜朧月猫の草紙〜

ところで(秘密ではないようなので)実はこの「森川楓子(もりかわふうこ)」をもうひとつの顔とする作家 高瀬美恵さんを囲む会にて本書に↓サイン頂きました!

高瀬さん楽しいひとときをありがとうございました!
































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