文フリ品 読『夢幻都市の黄昏』(小倉蛇)他

26th文学フリマ東京(5/6)…
https://bunfree.net/event/tokyo26/
…での狩猟品読。この度は偶々いずれも薄め&短め揃いのため比較的取組み易く。が内容はいずれも濃し。
↓上段〜中段左『夢幻都市の黄昏』1〜6+付録 小倉蛇著(地下石板)。中段右 非文フリ物乍ら『封印断章』小倉蛇著。下段左『ひとり異形コレクション』VOL.1「夢魔」VOL.2「教室」ふまふ著(シナヤス)。下段中『非実在探偵小説研究会Airmys』15号 特集ミステリ・ショート・ショート(エアミステリ研究会)。下段右『風狂通信』Vol.5 新本格30年&法月綸太郎特集(風狂奇談倶楽部)。

『夢幻都市の黄昏』は1「画廊ウロ」2「屋上の扉」3「輝く鉄路」4「姉の一族」5「黒猫異聞」6「キメラ期」付録「幻影魔洞」の7部中6部が連作短篇で謎の町「川渡(かわたれ)市」とその周辺舞台のクト神話。静かな筆致とユーモラス/陰鬱同居の展開と描写が心地よし。神話入門書風の付録も佳。同じ小倉蛇作『封印断章』は文フリでなく昨年クトゥルー市場(横浜廃道楽)で買い未読だったのを思い出し。文字通りの断章or断片群だが妙味あり。

『ひとり異形コレクション』は文フリ小倉氏の隣のブースの人で偶々会話した機に買い(シナヤスとは超安値ゆえか)。「夢魔」は日常的光景からの深々たる悪夢「教室」は一転漂流教室?型パニックホラーで其々面白く継続あれかし。

『Airmys』は掌篇特集だが各作意外と量感あり。麻里邑圭人4作「そして誰もいなくなった後で」「エロゲ的後期クイーン問題」「中に出す」「君と同じ夢を見る」いずれも擽り巧く3作目でついプッと。麻里邑作品でいつも思うが傍点なしでも充分では…? 神崎蒼夜「猿人荘の殺人」見事騙され口惜。足立公達「繁食」吸血鬼ネタ個人的に参考に。佐倉丸春2作「悪魔の滑稽歌」まさかの最爆笑! この〈歌〉昔宴会&有線で実聴。「悪魔は紳士と限らない」は遺憾乍ら当方知識不足で未理解… 紫藤はるか「偽作 瓶詰の地獄」夢久名作オマージュだがこれも読解力足りず残念… 嘉祐一「栄光ある図書委員の活動」ミステリマニアならでは作でクスリと。根倉野蜜柑「クイーン陛下の統べる国」これまたミス研趣味横溢愉し。他連載&ランキングも(小説映像共1位は順当)。ショート×2侮る勿れと刻印。

風狂通信』最目玉は法月インタビュー(写真付)一言毎濃厚で愕。京大推研・バッシング・後期クイーン・X論争・京極&殊能・本ミスクラブetc…の各大問題?で端的且つ詳細な証言貴重。関〇池〇については我〇○氏から聞いた話と微妙に違うのがご愛嬌。津町湘二・蓮沼尚太郎等久々見る名。イーガンはデクスターだ!等名言も。記事では秋好遼平「法月綸太郎評論ガイド」精緻な労作。荒岸来穂「新本格30年を読み解くための私選キーワード10」も参考に。他連載2種。

他に買い逃した『bnkr(ぼんくら)』vol.14 特集「名探偵」掲載の石動儀式著「クビキリロンリ・暗黒系」「アカサさんのこと」の2篇を縁あって作者石動氏より閲覧させてもらう機会あり。中篇級の「クビキリ…」は猟奇殺人+警察小説でその趣味趣向から個人的には即マイケル・スレイドの某デビュー作を連想したが作者自身は寧ろジャック・カーリイに触発とのことである意味?納得。殷々謎残し続篇期待の重厚作。一方「アカサ…」は一見淡々雰囲気の中少ない登場人物で瞬発威力の短篇。共に膂力感嘆。なお筆名は殊能将之石動戯作×自身の旧筆名による模様。


…というわけで文フリ今回も収穫多!


























.