『ジキル博士とハイド氏』増刷!

ジキル博士とハイド氏』時ならぬ大増刷の報(5刷)!
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488590017

ジキル博士とハイド氏 (創元推理文庫)

ジキル博士とハイド氏 (創元推理文庫)

ジキル博士とハイド氏 (創元推理文庫)

ジキル博士とハイド氏 (創元推理文庫)

…しかし紙版品切れかと思ったが然に非ず…では何ゆえ?
ミュージカル『ジキル&ハイド』は既に春終演だし…









まさかこちらのジキル&ハイド氏に何か?…

…と思ったらほんとに6月末からソロツアーの由w
ありがとうHoney so sweet!





























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新熊昇『黒い碑の魔人』『災厄娘inアーカム』『冥王の刻印』(購)

新熊昇氏の〈アイリーン・ウェスト・シリーズ〉(青心社文庫)3作共入手。『災厄娘(アイリーン)inアーカム』(=都築由浩氏と共著)『黒い碑の魔人』(=最新刊)『冥王の刻印』(=これのみKindleにて)。

時系列は『冥王…』『黒い碑…』『災厄娘…』の順の由につきそれに従い読予。因みに『黒い碑…』あとがきには豚蛇氏(=作者畏友)への謝辞あり。また蛇足乍ら同書は拙扼『黒の碑』(REハワード 絶賛品切れ増刷未定中)と関連ある模様。

冥王の刻印 (青心社文庫)

冥王の刻印 (青心社文庫)

黒い碑の魔人

黒い碑の魔人

災厄娘inアーカム

災厄娘inアーカム




























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『ナイトランド・クォータリーvol13 特集 地獄より、再び』(購)

池袋に出た機に殉狗洞にて。『ナイトランド・クォータリーvol13 特集 地獄より、再び』(アトリエサード) カレン・エリザベス・ゴードン『吸血鬼の英文法』(下楠昌哉彩流社) オリン・グレイ&シルヴィア・モレーノ=ガルシア編『FUNGI─菌類小説選集 第Ⅱコロニー』(野村芳夫Pヴァイン)

『ナイト…』は実質切り裂きジャック特集 拙扼あり夜魯死区!(=ウィリアム・ミークル「血の儀式」ホジスン後継を自負しカーナッキ創作集刊行ある作者の同誌再登板作 カーナッキvsジャック)
『吸血鬼…』は話題の書&吸血アンソロの参考に。
『FUNGI』は先日〈哲学者の薔薇園〉でZEPHYROSさん持参を瞥見し食指(ZEPHYROSさんより訳者野村氏の種々逸話聞き)。当然第Ⅰコロニーも既にありか…

ナイトランド・クォータリーvol.13  地獄より、再び

ナイトランド・クォータリーvol.13 地獄より、再び

吸血鬼の英文法

吸血鬼の英文法

FUNGI――菌類小説選集 第IIコロニー (ele-king books)

FUNGI――菌類小説選集 第IIコロニー (ele-king books)

FUNGI-菌類小説選集 第Iコロニー(ele-king books)

FUNGI-菌類小説選集 第Iコロニー(ele-king books)





























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ガストン・ルルー他『伝奇ノ匣9 ゴシック名訳集成 吸血妖鬼譚』(続)

先頃古書にて入手の東雅夫編『伝奇ノ匣9 ゴシック名訳集成 吸血妖鬼譚』(学研M文庫 2008年刊)…
http://d.hatena.ne.jp/domperimottekoi/20180521/1526887343

…を漸く読み終えに漕ぎつけ──るも予想されたこと乍ら本叢書の特徴たる旧仮名&古式文体多々のため菲才の脳には往々難渋を否めず全篇隈なく理解できたかは甚だ疑問…が兎にも角にも絢爛たる語群文字群を追うだけでも編者東雅夫氏が巻末解説で「瑰麗で洒脱でときに詰屈を極める」と述懐する感興に何となくにせよ触れ得たように思えるのはせめてもの僥倖。

本書の最特筆は西洋近代吸血鬼物語創作史の端緒となった所謂〈ディオダティ荘の一夜〉を徹底拘泥点としているところにありそのためその〈一夜〉の関連作を叶うかぎり収集し結果として表面上吸血鬼と必ずしも直結しないかに見える作まで含む大胆構成が敢えて採られている。その一番の代表はシェリー夫人作『フランケンシュタイン』(本書での邦題は『新造物者』)の本邦初紹介訳であり完訳には遠く至らない乍らも明治22(1889)年に早くも移入されていたことには驚かざるを得ず。また〈一夜〉主催者バイロン卿によるディオダティ関係作としては「断章」の代わりに(そちらは近年初訳のため)長詩「不信者」が採られているがその一節がまさにディオダティ発の吸血鬼小説の嚆矢作たるポリドリの「吸血鬼」(本書邦題「バイロンの吸血鬼」)中にある作者自身による「原作緒言」に引用されておりこれは実に相応しい。「不信者」と別訳者なので比較も一興──因みにその訳者と言うのが佐藤春夫で(但し東氏によれば下訳平井呈一)種村季弘編『ドラキュラ ドラキュラ』(河出文庫)にも同訳が採られているがそちらではこの「緒言」は訳者による劈頭の「解題」と共に省かれていたと思われ(※現時点手元未確認)その意味でも貴重再録(叢書『怪奇幻想の文学』中の『真紅の法悦』所収の平井呈一訳でもやはり「緒言」は略されていたと記憶)。更なるディオダティ関連として彼の〈一夜〉について記述した日夏耿之介「恠異ぶくろ(抄)」とその中で触れられているコールリッジの長詩「クリスタベル姫」までが戦前訳で採られディオダティ荘に始まる吸血流派の淵源として位置付け。…と言う采配で謂わばポリドリの「吸血鬼」を軸とした〈血の系譜〉の原風景を一望できる壮観。
他はその系譜の後代から芥川龍之介訳ゴーチェ「クラリモンド」矢野目源一訳シュウオッブ「吸血鬼」の両名作に加えて横溝正史訳アルデン「モダン吸血鬼」(=特殊吸血鬼例として面白)が選ばれ更に白眉は中篇級分量のルルー「吸血鬼」でこれが何とも波瀾万丈鬼絶怪絶の大傑作! 大正13(1924)年に池田眞なる未詳訳者によって雑誌連載されたと言う大家ルルーのこの知られざる逸品がこれまで発掘されなかったのが不思議なほどで上述ディオダティ荘掘り下げの価値を別にすれば収録作品個別としては本書の最大功績ではないかとすら。
他にエッセー等として日夏耿之介「吸血鬼譚」小泉八雲屍鬼平井呈一「嗜屍と永生」があり其々に教えられるところ大。中で平井の一文は初再掲の由で18世紀ゴシック小説群に吸血鬼物がない理由の考察等示唆的。

…とこのように無学の徒にはなかなか難しかるべき本書を恐る畏るも繙いたのは不肖弊ブログ子自身が分も弁えず今般他でもない吸血鬼アントロギヰを魂胆するがゆえでありその伝からこの道の深さ遠さを多少とも知り得た感慨神妙。先達偉業に今更に敬礼。






























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東雅夫編『伝奇ノ匣9 ゴシック名訳集成 吸血妖鬼譚』

『伝奇ノ匣9 ゴシック名訳集成 吸血妖鬼譚』(東雅夫 編 学研M文庫 2008)。今まで未入手の迂闊慚愧の大変書。(と言ってもまだ捲り瞥見のみ)
https://hon.gakken.jp/book/1390053100

↓目次のみチラ紹介。

他書にて既読あるも初発掘稿もあり何より編者東雅夫氏による巻末解題が貴重で『血と薔薇の誘う夜に―吸血鬼ホラー傑作選』(角川ホラー文庫)での解説を補完して余りあり。『伝奇ノ匣』叢書ではこれのみ未電子化のようだが…まさか吸血鬼物は売れないからとか?…

ゴシック名訳集成 吸血妖鬼譚―伝奇ノ匣〈9〉 (学研M文庫)

ゴシック名訳集成 吸血妖鬼譚―伝奇ノ匣〈9〉 (学研M文庫)

にしても…
このシリーズにこの赤い背表紙をいきなり混ぜたのは反側気味な気も…




























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『こ・めでぃうむ』ver.20180506/ホレス・ウォルポール『象形文字譚集』

26th文フリ狩猟品の内『こ・めでぃうむ』ver.20180506(れうにおん 発行) &ホレス・ウォルポール象形文字譚集』(懐古文庫 発行)読。

↑いつも乍らデザイン爽快な『こ・めでぃうむ』最新号。収録作いずれも副題(or紹介)が内容把握に役立ち。
波留吉久「拝啓ヒロイン様」(TS者たちのサナトリウムの淡い物語)…急性異性化症候群患者の美少女&美少年の切ない恋文代筆譚だが…短くも一筋縄ならず。
蒼田ガイ「挽き肉」(自殺愛好者と自殺予知者の邂逅──青春暗黒小説)…これまたある種の〈症候群〉患者同士とも言える異能者交流テーマは上記作↑に通じるが…グロテスクさは格段。
山田摩耶「乙女心とアイの空」(様々な表情を持つ空と乙女心──空になぞらえた百合小説)…の副題の通りレズ物+極微量BL味がこちらも「拝啓…」と一脈だが…よく考えると相当淫猥な話。
根倉野蜜柑「廃墟の犬」(死の美を愛する少女たちの物語)…「挽き肉」に通じるネクロフィリアテーマだが…ある仕掛けが奏効しさらなる厭さ加減に。朗読(!)用作品改稿の由。
佐藤骸骨「メディシンマン」(呪医のもとを訪れたのは月を見ると兎になってしまう男)…これのみ漫画。兎になる原因のみならず美貌呪医の病み具合も注目。
ホレス・ウォルポール「妖精の物語」(訳 平戸懐古:『オトラントの城』や『象形文字譚集』の作者二十代の奇想掌篇)…これのみ翻訳作。アヒルの世界舞台の人を食った滑稽譚…のように見え乍ら解題によれば作者自身にも関わる複雑なイギリス史への風刺+言語遊戯に溢れる由。かすかな艶笑味も。
総じては「妖精…」以外(いやそれもある意味?)期せずしてLGBT&異常(と敢えて呼ぶ)嗜好を材とする作が揃い 瀟洒な造本とのギャップ感もまた佳し。


一方 上の写真↑右の『象形文字譚集』は上記「妖精…」の紹介にもあるウォルポールの連作小品集で『こ・めでぃうむ』既刊号に載せた6篇に加え「序文」「あとがき」+関連作1つを新たに訳出して今般目出度く集成刊行(訳は全て平戸懐古)。全作掌篇乍らいずれも曲者度高く うかうかとは読み進められず。
まず「序文」からして「世界の創造の少し前に書かれたもの」と宣言する等巫山戯まくりで1語として素直には読めず(解題によれば「信用できない語り手を擁すメタフィクション」)。続く「新説・アラビア夜話」はタイトル通り『千夜一夜物語』のパロディだが…唐突過ぎる展開が滑稽且つ不気味。「王と三人の娘」は寓話風を装い乍ら生と死の概念の混乱を呼ぶ怪作で「構築の見事さにおいて最上」と訳者賛。「サイコロ箱 おとぎ話」は象と天道虫の牽くピスタチオの馬車なるわけの判らないものやらソロモン王とシェバの女王まで登場する奇想篇。「桃入りブランデー ミレー人の物語」は架空国の幼女王が引き起こすてんやわんやだが…ある因果から読むと「風刺とか皮肉を越えた悪夢」の由。「ミ・リ 中華のおとぎ話」は空想上の中国の皇子の大スケール冒険譚で集中最長。「真の愛の物語」はロミオとジュリエット思わす悲恋譚だが…アッと驚く仕掛けは「最も早い作例」の可能性ありとのこと。さらに訳者解題のあとに新たに加えられた(=某『厭な物語』を意識した構成?)「鳥の巣」もまた奇態な夢幻譚だが…何がしかの理由で本作品集に加われなかった作として推理披歴。
全作飄々たる雰囲気の反面極めて衒学的で 訳者による読解に頼らねば(いや頼っても無学な徒にはなお)難解さ易くは乗り越え切れず。その意味でよくぞここまでと感嘆必至の研究の深さだが…『オトラントの城』を卒論として以来の念願の訳出達成とあれば宜なる哉。訳文の平明さ&律動感も見事でそれなくしてはの感。ゴシックロマンスの祖ウォルポール再発見の契機となるべき成果慶賀(50冊忽ち完売の報は既に充分契機となったゆえ?)。





























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