スティーヴン・キング『ファインダーズ・キーパーズ』

スティーヴン・キング『ミスター・メルセデス』『ファインダーズ・キーパーズ』(白石朗 訳 2016/8 2017/9 文藝春秋)読。

〈退職刑事ビル・ホッジス3部作〉の第1部&第2部だが…前者未読のままだったため後者刊行の機に続けて読破。その前者『ミスター…』はタイトルどおりメルセデス・ベンツを凶器とする連続殺人犯を主人公ホッジズがネット等現代的空間の中で追う話で 今般の『ファインダーズ…』はその終息後全く別の事件(登場人物の一部に関わりはあり)が 一転比較的懐旧的世界観で展開する。70年代の強盗殺人犯が 盗んだ著名作家の未発表草稿を現代のある少年に拾われ 冷酷な手口で奪還に迫る。元刑事の初老探偵ホッジズは少年ピートとその一家を守るため凶悪犯を追い詰めていく。犯人モリスとピートとホッジズの3者を主要視点として 離れ離れだったパズルのピースが徐々に接近し嵌め込まれていくように 序盤中盤の紆余曲折を経てラスト3者が出遭う白熱のクライマックスへと収斂。この「巡り巡っての運命的出遭い&対決」こそキングの自家薬籠で 第1部『ミスター…』でも顕著だったが 第2部『ファインダーズ…』ではより先を読ませない錯綜 これをどうほぐし結びつけるのかと案じさせつつも 終盤の怒涛のリーダビリティーで見事期待に応える。両作とも「ミステリー」を謳い とくに『ミスター…』はエドガー賞に輝いたが 印象はともに寧ろスリラーorサスペンスと呼ぶに相応しい。またこの第2部では第1部の敵キャラ=メルセデスキラーにも触れられており シリーズ大団円を含むであろう第3部に如何に繋がるか愉しみ。(なおタイトル〈ファインダーズ・キーパーズ〉はホッジズの探偵社名で 訳者あとがきによればあるユニークな意味を持つ由)

『ミスター・メルセデス』『ファインダーズ・キーパーズ』は文藝春秋より拝領 感謝!





























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