芥川龍之介 谷崎潤一郎ほか『文豪エロティカル』

『文豪エロティカル』(末國善己 編 2017/8月刊 実業之日本社文庫)読。
http://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-55380-1

これも文豪ブームの恩寵か タイトルどおり超有名純文学作家10士による「性」テーマ──と言うよりも寧ろ敢えて変態エロティシズム嗜好と呼ぶべき短篇傑作集。同文庫で軍師物 決戦物等硬派時代小説を編んできた末國善己氏だが 既に『夜の日本史』↓と言うその道の名著をものしている人なので実は意外の感はない。
http://domperimottekoi.hatenablog.com/entry/2013/09/07/000000
「時代の制約もあり直接的な官能表現は少ないが」「五感を刺激する描写に満ちており、視覚を重んじる現代のエロスの表現とは違う魅力」と解説にあるように 露骨さではない繊細さ陰翳の豊かさでエロティシズムを喚起する作──視姦趣味の男を描く田山花袋少女病」ストッキングフェチ録 川端康成「舞踏靴」私小説風掌篇 太宰治「満願」ある種の盗聴話 永井荷風「人妻」──がメインをなす一方で かなり衝撃的なもの──作家イメージとは些か異なる男色記 堀辰雄「燃ゆる頬」阿部定の少女期 織田作之助「妖婦」平安糞尿譚 芥川龍之介「好色」──もあり さらには時代的問題作と言えるもの──不感症の元娼婦が見た戦中戦後 坂口安吾「戦争と一人の女」一大スキャンダルを呼んだ 森鴎外「魔睡」──まで揃う中でも 個人的最注目は 中篇級分量の谷崎潤一郎青塚氏の話」。江戸川乱歩かとも見紛いそうな謎めく異常性癖談で 切迫感を煽る筆勢と展開が見事。また安吾の「戦争と…」は『黒革の手帖』での怪演が記憶に新しい江口のりこ主演で 荷風「人妻」は谷村美月で其々映画化されているそうで興味唆る。
末國氏は『特選小説』誌で『文豪、エロスに挑む!』を隔月連載中の由なので この筋でもまだまだ企画あるやも。

上の表紙写真では下半身が隠れているが 帯をとると↓…

『文豪エロティカル』は末國善己さんより頂きました、ありがとうございます!





























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