田宮二郎『スパイ』

5/13水 神保町シアター『スパイ』(1965大映 山本薩夫)
http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/program/tamiya_list.html#movie03
(※ネタバレ注意→)http://movie.walkerplus.com/mv21539/

紛れもない社会派の傑作。翌年の大作『白い巨塔』に繋がる山本薩夫メガホンという意味でも田宮二郎にとっては特別な1本かも。がそれ抜きにしても65年大映での田宮主演作が10指に余るハイペースなのを思うと各作のクオリティの高さに驚く。非情な工作員(中谷一郎)に翻弄される愛人(小川真由美)と韓国人学生(山本學)追究する記者(田宮)の四つ巴熱演の火花。嘗てはこういう苛烈な批評性・権力批判を資本や体制までもが当然のごとく度量を持って認めていたことを思うと今の時代の突出した異常さが改めて思いやられる──今こういうものを撮っても世の中自体が受け容れないだろう。冒頭の声のみの出演永井智雄(『事件記者』)に似てるなと思ったらやはりそうだった。

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