渋谷実『気違い部落』

7/11シネマヴェーラ渋谷『気違い部落』(1957松竹 渋谷実)
http://www.cinemavera.com/programs.php
(※ネタバレ注意→)http://movie.walkerplus.com/mv25316/

水野久美の幻のデビュー作&渋谷実最大のカルト作として是非観たかった映画。が観た結果これはカルトじゃなく純粋に傑作。しかも『悪女の季節』『霧ある情事』のように「渋谷作品だから」という但し書き付きじゃない普遍的な意味での傑作と言える。事前にイメージされたような過激な要素は実は少なく(ないわけじゃないが)むしろある意味で「とてもいい話」、ラストは感涙禁じ得ず。穿って言えばその点が「渋谷だからきっととんでもないだろう」という予想を見事に裏切ってるまさに「渋谷実イズム」体現作。伊藤雄之助嵌まり役。怪優と言われるがこれを観るとそんなヒネた呼び方せずとも単に名優だと判る。妻役淡島千景『大番』にさえ優る熱激演、底力見た。娘役水野はストーリー上のキーパーソンでここを出発点としたのはある意味幸運な女優人生かも?
冒頭顔出しまでするナレーション(神の視点)森繁久彌と登場人物が時々会話してみたり(近年では大林宣彦『この空の花』がモロやってた)、主役の伊藤一家が開映20分ぐらい経ってからやっと登場したり等随所にユニークな試みあり。

しかしこれはやはり敢えてソフト化せずこうやって時々劇場でかけるのが正解な作ではある。


水野久美



















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